デビューした。解説する展覧会についてシナリオの冒頭を紹介する。
「・・・・当美術館では、約6,000点のコレクションを所蔵しています。その中から、年3回ほどテーマを設けて展示を行っています。今回は「越境者パスキン」というテーマで、エコール・ド・パリの画家『ジュル・パスキン』の作品を中心にご紹介します。エコール・ド・パリとは・・・・」
こんなテーマの展覧会約65点の展示品から、15~18点くらいをおよそ30分で紹介する。
私が担当する上記展示では、①11:30~12:00と②13:00~13:30の2回ギャラリーツアーを行う。参加者がいないとツアーが成立しない、つまり経験が積めないので、初日ということでボランティア仲間がサクラとして2人現れた。
初回のツアーには一般客が4名。そのうちの一人は美術館巡りが趣味の東京から来た人。「この美術館以外に西洋絵画を展示しているところはないのか?4日宿泊するので時間はたっぷりある。」とかなり通な客が現れた。
なんだかんだとにかく無事に終了。くだんのお客には渋い質問をされたが、まったく手に負えないので、ベテランボランティアに対応を任せて解決。
さて、美術解説は日々変化がある。今回の解説をする前、あるいは解説デビューした後に、シナリオの内容変更を伴う情報が入ってくる。いくつかの例を示すと
①シャガールが使う青色は、「幸福」を示すとされていたが、近年その解釈は違っているようだと考えられるようになった。
②ジュル・パスキンの作品解説で使う「黒人の女性歌手」。「黒人」はやめるように。
③新約聖書から作品名を取った「サマリヤ人(びと)」は、「びと」→「じん」と読む。
他にもいくつかあるが、時代の変化に伴い近年のポリティカル・コレクトネスを背景とした改定内容の変更が多いようである。
6月上旬までの今企画展で後4回担当日がある。2週間、間があることもあるので、また忘れてしまわないかと心配なわけである。