札幌では先週(4月15日)桜が開花した。平年が5月1日なので2週間早い。まさに地球温暖化である。近頃札幌ではGWに花見をするというのが当たり前になっているが、40年くらい前はGW明けに花見をやっていた。
加えて言えば、「梅」の名所、札幌平岡公園の梅の開花宣言は4月20日。こちらでは、梅より桜が先に咲くことがままある。
「世の中にたえて桜のなかりせば、春の心はのどけからまし(古今和歌集)」
と詠っているから、桜は千年以上前から日本人の心を騒がせていたことが分かる。
大阪造幣局の花見は有名で、小生も若いときに一度行ったことがある。メインの品種は八重桜で、500mくらいの街路を一方通行で歩く。ちょっと立ち止まると「止まらないでください」とガードマンに声をかけられるので、あまり情緒がなかった。この話を誰かにしたら、最近も同じ状況だったそうである。
最近まで生活していた広島にも造幣局があり、そこでも3(4)月になると花見ができる。こちらは、大阪と違って通り抜けするタイプではなく、平日であればゆっくり立ち止まって観賞することができる。むろん、場所柄ゴザを敷いて一杯やると言うわけにはいかない。
こちらの会場は古代からある桜を含め多種の桜が植えられており、花びらの数、色やそれぞれの歴史が楽しめる。ソメイヨシノは江戸後期に交配して作られたもので、在原業平の時代にはまだなかった。業平を「のどけからまし」させたいと思わせた桜も園内のどこかにあるにちがいない。
ところで、花見や紅葉狩りは自然と共に生きていることを基本とする神道の国日本ならではの風習。人間以外のものは人間のために神様が創造したとする一神教的考えの人から見ると、花を愛でたり枯れた葉っぱを見て喜ぶなんて結構変わった習慣だ。そんな一神教の人でも、日本人が桜や紅葉を楽しんでる様子を見ると、やっぱりこの季節が好きになるそうである。クールジャパン。