footera1953’s diary

本、旅テーマは色々ある。まだ、方向性は固まっていない。

偏向読者の10冊

お題「好きな本を十冊紹介してください」

 著名人が、新聞などにその人の推薦する本ベスト5みたいなやつをやっている。今日はそんな気持ちで紹介してみたい。好きな本の選択基準は、何回か読み返した本と言うことにした。お気に入りの作者の本は何冊か読み返しているので、それらについては代表的な本とした。

1.「AI vs. 教科書が読めない子供たち」新井紀子

 ここ数年で一番衝撃を受けた本。今どきの子供が文章を読めていない、理解していないことを、彼女はデータで示している。小学生から英語を教えるのも良いが、「日本語がわかってない」子供たちに英語を教えてどうするというのだ。思考力が育たない。

2.「パプリカ」筒井康隆

 筆者の比較的後期の作品。メタフィクションの世界が堪能できる。「文学部唯野教授」も良かったな。こちらの本では文学批評論も楽しめる。本当は筒井康隆だけで10冊並べられるんだけど。

3.「ローマ人の物語塩野七生

 全15巻あるので全てを読み返したわけではないが、最初の5巻位までは部分的な読み返しを含めてよく読んだ。この本で歴史に興味を持つようになった。ヨーロッパ(アメリカを含む)社会を知るためにも大いに役立つ。初めてのヨーロッパ旅行は絶対イタリアと決めたのもこの本。

4.「世界がわかる宗教社会学入門」橋爪大三郎

 宗教に対してあまりにも無知であった自分を変えてくれた本。この本を通して宗教と社会の関わりを知り、一挙に社会の出来事への理解が深まった。と同時にこの著者のほかの本を読むことで読む本の領域も大きく広がった。「銃・病原菌・・」もその一つ(「やさしい構造社会学入門」、「人間にとって法とは何か」他多数)

5.「触発」今野敏

 ただ読書を気楽に楽しむということで言えば、今野氏は素晴らしい。きれいな文体、それなりのリアリズム、あるいは突き抜けた荒唐無稽さ等。その上多作なのでそう簡単には読みつくせない。長旅に出るときはついお世話になってしまう。ヨーロッパのホテルに数冊置いてきた。ここに挙げた碓氷弘一シリーズの1作目「触発」、2作目「アキハバラ」は主人公が物語の後半までほとんど出てこない。こんな構成が気に入っている。

6.「銃・病原菌・鉄」ジャレド・ダイアモンド

 サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ)もヒットしたが私のお勧めはこちら。白人が選ばれた種だから文明が発展したのではなく、地政学的に恵まれていた。キリスト教、白人目線の人類史から離れニュートラルに書いてある。

7.「大統領に知らせますか」ジェフリー・アーチャー

 この人も旅のお供。少々長くても中だるみや退屈することがない。いわゆるストーリーテラーっていうやつだと思う。日本人作家にはなかなかいない気がする。

8.「西洋絵画入門」山田五郎

 素人でも西洋絵画への理解が深まる。旅行でパリに行こうと思っている人にはお勧め。間違いなくルーブルオルセー美術館にはいくことになる。

 新書版の西洋絵画入門はいくつかあるが、意外と入門編ではない。この本は作者がテレビによく出ているので、それで親しみやすく読めたのかもしれない。西洋絵画を楽しむには上記「宗教社会学入門」のようなテキストも併読しておく方がいい。

9.「夏への扉」ロバート.・A・ハインライン

 最後の二作品はタイムマシン物の名作を用意した。両作ともオチがあるのだが、10年もたつとそれを忘れているので何回も読める。

10.「マイナス・ゼロ」広瀬正

 この人は文庫版で6冊しか作品が残っていない。いずれも名作。作家デビューが遅くかつ夭折してしまったからだ。文庫の解説を書いた同業者が「彼の作品をもっと読みたかった」と書いてあるが、その通りで残りの作品も2~3回読んだ。 

ローマ人の物語」の装丁がひときわ際立つ。